G6PD欠損症とは?高濃度ビタミンC点滴の前に検査が必要な理由
2025/3/27

美容や疲労回復、免疫力アップを目的として人気の「高濃度ビタミンC点滴」。 ご興味を持たれてクリニックのホームページをご覧になった際、「事前にG6PD検査が必要です」という案内を目にしたことはありませんか?
「ビタミンCを入れるだけなのになぜ検査が必要なの?」と疑問に思う方も多いかもしれません。今回は、この「G6PD欠損症」と高濃度ビタミンC点滴の深い関係について分かりやすく解説します。
G6PD欠損症とは?
G6PD欠損症(グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症)とは、赤血球の中にある「G6PD」という酵素の働きが、生まれつき弱い体質のことです。
世界的に見ると数億人いるとされていますが、日本人には比較的まれ(約0.1〜0.5%)な遺伝的体質です。日常生活を送る上では無症状であり、健康に影響することはほぼないため、自分がこの体質であることに気づいていない方がほとんどです。
赤血球は「酸化」に弱い
私たちの体では、日常的に「酸化ストレス(細胞を傷つける反応)」が発生しています。酸素を全身に運ぶ役割を持つ「赤血球」は、特にこの酸化のダメージを受けやすい細胞です。
通常、赤血球はG6PD酵素の働きによってバリアを張り、酸化ストレスから自分自身を守っています。しかし、G6PD欠損症の方の場合、このバリア機能が弱いため、強い酸化ストレスにさらされると赤血球がダメージに耐えきれなくなってしまいます。
なぜ「ビタミンC」で問題が起こるの?
「ビタミンCは抗酸化物質なのに、なぜ酸化のダメージを受けるの?」と不思議に思いますよね。
実は、サプリメントなどで口から飲むビタミンCは抗酸化物質として働きますが、点滴で「高濃度」のビタミンCを直接血管に入れると、血液中で一時的に強い「酸化作用」をもたらします。
この一時的な酸化作用が、美容効果や抗疲労効果などの嬉しいメリットを引き出すスイッチになるのですが、G6PD欠損症の方にとっては大敵です。赤血球のバリア機能が弱いため、この酸化ストレスに耐えきれず、赤血球が壊れてしまう「溶血(ようけつ)」という現象を起こし、重度の貧血などを引き起こす危険性があるのです。
だからこそ「事前の検査」が重要です
このような重大なリスクを未然に防ぎ、皆様に安全に治療を受けていただくため、高濃度ビタミンC点滴を行う前には、事前のG6PD検査(簡単な血液検査)が必須となっています。
💡 ポイント
G6PD欠損症は生まれつきの体質であるため、検査は一生に一度受けるだけで十分です。一度「問題なし」と診断されれば、その後は安心して点滴治療を続けていただけます。
まとめ:安全な点滴治療のために
当院でも、患者様の安全を第一に考え、高濃度ビタミンC点滴を初めて受けられる方には必ずG6PD検査をお願いしております。
G6PDは「赤血球を酸化ダメージから守る」大切な酵素
欠損していると、強い酸化ストレスに弱くなる
高濃度のビタミンC点滴は一時的に強い酸化作用をもたらすため、赤血球が壊れる(溶血)リスクがある
重大な副作用を防ぐため、事前の血液検査が必須
事前の検査は少し手間に感じられるかもしれませんが、安全に、そして安心して効果を実感していただくための大切なステップです。ご不明な点やご不安なことがありましたら、いつでも当院のスタッフや医師にお気軽にご相談ください。
医学監修:岡田善史 医師
日本橋クリニック 院長
再生医療・自由診療・鍼灸を組み合わせた総合的な治療を行い、患者さま一人ひとりの状態に合わせた治療提案を行っている。
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