整形外科医から見た鍼灸治療・・・再生医療との連携の可能性

著者:岡田善史 院長
最終更新日:2026年9月29日
はじめに
日本橋クリニックでは再生医療と鍼灸を組み合わせた治療を提供しています。
開業するにあたり鍼灸治療がどのように再生医療との相乗効果を生み出せるのか。再生医療の効果を最大限に引き出すために鍼灸がどこまで関われるのか興味がありました。
海外の論文では脳梗塞(※1)(※2)や坐骨神経の損傷(※3)、変形性膝関節症(※4)に関して検討したものはいくつかあります(どの論文も神経損傷の改善や移植細胞の生存、定着を促す、局所炎症の改善を示唆する結果でした)。しかしどれも動物実験での検討でヒトでの併用療法の有効性は検討されていません。
医学部で6年間、医師になってから10年以上西洋医学を学び治療を行ってきた整形外科医から見た東洋医学である鍼灸の効果と再生医療との連携の可能性について考えてみました。
鍼灸治療について
まず西洋医学とは人間の身体を臓器・組織の集まりと考え悪い臓器をそれぞれ局所的、科学的に分析し病気の原因となっている病因を排除し治療を行います。
診断・治療のためにX線、CT、MRIや血液検査など客観的なデータを参考とし、異常が出た部分に対し投薬や手術を行います。
それに対し東洋医学は経験的な医学であり、身体を臓器別に見るのではなく身体全体のバランスを総合的に診る医学です。そのため検査では明らかな異常は出ないが身体の不調、何らかの症状がある方や西洋医学では対応できない症例などでは効果を発揮することがあります。
実際に日本橋クリニックでは、頚椎の手術後腕が上がらなくなっていた患者さんの腕が上がるようになってきたり、斜視の手術後目の見え方があまり良くなかった方の見え方も改善傾向にあります。
もちろん肩や腰、首の痛みなど痛みに対しても筋緊張の緩和、血流改善、下行性疼痛抑制系の賦活、内因性モルヒネ様脳内物質の放出などで除痛を図ることもできます。
私自身花粉症を鍼治療で治療し、内服薬を使用しなくても良くなりました。
これらの効果は悪い部分に効く薬を使っているわけではありません。「経穴」「経絡」という東洋医学特有の考え方を使い、鍼治療を行うことで身体全体のバランスを整えて症状の緩和を図っています。
整形外科医から見た鍼灸治療
西洋医学を学んだ整形外科医としては、人間の身体の中の正常な状態(解剖学的、生理学的、遺伝的に)が崩れることで病気となり、その原因となっている異常を治療することで病気は治ると考えてきました。そのため異常のある臓器、組織にフォーカスを当て治療することになります。
しかしそれでは、1人の患者さんに循環器、腎臓、肝臓、整形外科、脳神経外科などそれぞれの科の医師がそれぞれの専門分野の治療を行うため、診療科間のコミュニケーション不足や薬の量が多くなったり、科ごとに優先する治療方針が異なる場合は一貫した治療を行うことが難しくなることがあります。
その点、東洋医学の考え方は人の人間の身体を全体で診るため1人の鍼灸師で治療が完結することもできます。
鍼灸治療は西洋医学ではどのようにアプローチしたらいいか困る症例や総合的に治療したい患者さんなどに効果的と考えられます。
再生医療と鍼灸治療の可能性
海外の論文でも(動物実験ではありますが)再生医療と鍼灸治療の併用療法は効果が期待できます。
再生医療、鍼灸治療を単独で見ると、どちらもヒトに対する効果は確認されています(※5)(※6)。
そのためヒトに対する併用療法の可能性も期待できると思います。
最後に・・・
西洋医学も東洋医学もどちらが優れていて劣っているかという事ではなく、人間をどのように捉えるかの違いであり両方の強みを活かし治療することで、治療効果を最大限発揮できるのではないでしょうか。
西洋医学の再生医療と東洋医学の鍼灸治療を併用することで、どちらか一方だけを受けるよりも、より患者さんの身体を根本から治療する力を高めることができると考えています。
再生医療と鍼灸治療の併用について興味のある方は一度日本橋クリニックにお問い合わせください。
参考文献:
1) Haibo, Y. (2014). Electro-acupuncture at Conception and Governor vessels and transplantation of umbilical cord blood-derived mesenchymal stem cells for treating cerebral ischemia/reperfusion injury. Neural Regen Res. 9(1), 84-91.
2)Peiying, D. (2022). Therapeutic Potential of a Combination of Electroacupuncture and Human iPSC-Derived Small Extracellular Vesicles for Ischemic Stroke. Cells. 11(5), 820.
3)Yueyao, C. (2022). Magnetic resonance imaging assessment of the therapeutic effect of combined electroacupuncture and stem cells in acute peripheral nerve injury. Front Cell Neurosci. 16.
4)Jun-Wei, L. (2021). Effect of Warm Acupuncture Combined with Bone Marrow Mesenchymal Stem Cells Transplantation on Cartilage Tissue in Rabbit Knee Osteoarthritis. Evid Based Complement Alternat Med. 2021.
5)Alessandro, B. (2026). PRP Injection for the Treatment of Knee Osteoarthritis: The Improvement Is Clinically Significant and Influenced by Platelet Concentration: Response. Am J Sports Med. 54(1), 6-7
6)Xiaoyuan, T. (2024). Relative efficacy and safety of mesenchymal stem cells for osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Front Endocrinol. 15.
医学監修:岡田善史 医師
日本橋クリニック 院長
再生医療・点滴療法を中心に、患者さま一人ひとりの状態に合わせた治療を提案しています。効果だけでなく、適応やリスクも丁寧に説明し、安心して相談できる医療を大切にしています。
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